ミャンマーへの投資環境 (人的ソフト面)

ミャンマーへの投資環境 (人的ソフト面)

ミャンマーの競争力の一つとして、労働市場の競争力が挙げられます。日本の10分の1、中国の5分の1とも言われる安価な労働者が多数存在し、統計上、現在のミャンマーはアジア最貧国と言われています。全国平均の月収水準は80ドル程度。今後は、外国投資の広がりと共に、平均賃金が全国的に上昇していくことが期待されていますが、ヤンゴンを中心とした都市部と農村部の経済格差は広がる一方です。

ヤンゴン地区では、製造業ワーカー(非管理職)は、月収60ドル程度、製造業(エンジニア等)は、月収140ドル程度、製造業(管理職)は、月収450ドル程度、非製造業(非管理職)200ドル程度、非製造業(管理職)700ドル程度、飲食店等のスタッフ(ミャンマー語のみ)は、月収35ドル程度が、今現在の目安と言われています。

公務員のベース賃金は、民政移管後の2年程度で、5000円程度上昇しました。それでも、今のミャンマーの公務員の給与水準は低く、大臣の給与よりも、ヤンゴン市内のタクシー運転手やトラベル通訳の方が一般的に収入が高いと言われています。

民政移管から約3年経過した現在、ミャンマーの労働市場は、公務員、民間ワーカー共に、賃金は上昇圧力に晒され、大きく高騰しています。例えば、IT系オフショア開発の現地ミャンマー人マネージャーの月給は1000~1500ドル程度、IT系SEは500ドル程度と言われていますが、数年前まではこの3分の1くらいの水準でした。

また特に問題として指摘されるのが、一般的に教育の施されていない非熟練労働者がそのほとんどです(民主化以前、ミャンマーにおける労働者のほとんどは農業労働従事者であった)。採用企業側が求める名目賃金の高騰に見合った形の人材スペックが満たされない状態で、マクロの労働市場だけが高騰基調にあります。これからのミャンマーは、他のASEAN諸国対比、名目上の賃金水準において、それほど大きな優位性を維持できず、その人材スペックの内実そのものが問われる局面に入って来ると思われます。一般的に、ミャンマー人は、熱心な仏教徒が多く、真面目で勤勉であると言われている。これは概ね事実であり、ビジネスの場面においても相応の教育を施すことで、日本企業にとっては活用しやすい人的資源がミャンマーには存在すると言えます。人材スペックから見ると、今のミャンマーにおいて、管理職レベルの人材が著しく不足しています。現状、外国企業のニーズを満たすレベルにあるミャンマー人材は、おおよそシンガポール、タイ、日本などへの留学経験や就労経験がある帰国組だけで、管理職人材の争奪戦になっており、採用コストは高騰しています。一般サービス会社の現地法人における、課長などの下級マネージャー職レベルの人材(多言語対応、PCスキルなど一定のレベル)ですら、すでに月給2000ドルを超える事例が増えています。2年前であれば、400ドル程度でした。

以上の通り、現在のミャンマーの労働市場の需給間に、上述のような人材スペックのレベル感の大きな差異があるにも拘らず、マクロ的な労働市場の需給ギャップの存在から、名目賃金だけが高騰しています。このような内実を斟酌すると、一概に、労働コストの優位性の観点からだけで、他のASEAN諸国対比、ミャンマーの労働市場に絶対的優位性があると評価することはできない状態です。

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