ミャンマーへの投資環境(行政運用、SDNリスト)

ミャンマーへの投資環境(行政運用、SDNリスト)

投資協定の締結により制度面での投資環境は整いつつあるが、制度面において別の視点で投資環境上の障害を検討すると、個別法の全般的な未整備状況が進出上のハードルとなっています。法律の明文があったとしても、旧ビルマ法典時代からの法文で、運用されていなかったり、規定自体が古すぎて、運用に適さないものも多い。また、新しく制定された法律や改正法についても、明文規定の運用実績や適用事例が豊富に存在しないことから、法の執行機関である行政の運用も曖昧不透明な対応になることが多いです。一般的に、法律は存在しても、その運用については、行政機関に大きな裁量権があり、その裁量の範囲をきちんと把握し、適正な手続きに乗せていくプロセスは、現在のミャンマーにおいて、かなり高いハードルとなっています。

また、省庁ごとの縦割り行政の弊害が顕著で、複数の行政機関にまたがる案件についての判断が遅々として進まないことが多く、首都ネピドーにおいて申請がたらい回しにされることもあります。また各行政庁の内部組織構造として、大臣以下、誰が判断権者かその範囲が不明確で、当該担当大臣であっても、行政庁内では判断できないとして、大統領府の承認が必要であるなどの対応をされるケースもあります。更に、許可要件が行政裁量の範囲の中で解釈判断されることにより、申請者として、実際の許可可能性を事前に推し量ることが難しい点が、投資判断上のハードルとなっています。

以上のような行政対応が一般化しているため、各行政手続きに関して、かなりの時間がかかるという点が、問題点として指摘されています。これに対して、現政府は、外国投資に関し、ワンストップ型で迅速な対応ができるような体制を構築することを目指すとして、MIC申請などへの許可プロセスの短縮化を図り、一定の成果は出てきています。

更に、制度上、ミャンマーへの投資環境として最も大きなハードルとなっているのが、米国財務省外国資産管理室が管理しているSDNリスト(経済制裁リスト)です。同リストに掲載されている個人・法人との米国企業の取引を禁止しており、掲載企業との取引に係るドル決済が不可能となるなどの措置が発動されます。日系企業が同リスト掲載企業と取引をした場合も米国の制裁対象となり、経済制裁対象の措置として、当該日系企業の海外における米ドル決済の全面的な停止措置がなされる大きなリスクが存在します。故に、ミャンマーへの進出・投資判断において、一番最初に検討すべき事項が、このSDNリストの掲載の存否です。

SDN掲載個人および企業は、原則的に、旧軍事政権時代に、北朝鮮との軍事物資の取引や武器取引に関わったりしたことのある者が対象となっています。そのような企業は、軍事政権時代に蓄えた莫大な私財を背景に、財閥のような大きなコングロマリット形態に成長し、現在でもミャンマー経済の中で、既得権益を享受しています。日系企業は、現地ローカル企業との合弁事業などを構成する際に、相手方がSDNリストに掲載されているか、徹底的に調査する必要があります。

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